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無電柱化コラム

国内外のまちづくり ,日本の無電柱化事情 ,

2021.04.20

日本の電柱は増え続けている!なんと1年で83,491 本!?電柱大国日本の地中化事情

日本の電柱の数を調査

 

2018年現在日本には、3,592万本以上の電柱が立っている。しかも、この電柱は1987年から現在までに545万本以上も増えているのだ(※国土交通省資料より)。このままでは、日本は電柱だらけになってしまう。この状況は、無電柱化率で欧米各国はおろか、アジア各国にも大きく水をあけられている。日本が電柱大国と言われるゆえんだ。

各都市の電柱地中化率の推移(松原隆一郎東大教授 作成)

▲各都市の電柱地中化率の推移(松原隆一郎東大教授 作成)

電柱は1年で83,491 本の増加!

全国の電力会社とNTT にヒアリングしたところ・・・

電柱の本数

全国の電力会社とNTT にヒアリングしたところ、2010 年3 月末現在の電柱の数は3316万589本で、前年度より83,491本増えてしまいました。かなり驚愕な数字だと思いませんか?

電柱地中化を進めても、それを上回るスピードで電柱が立て続けられた場合、電柱が日本から無くなることはあり得なくなり、景観、災害、バリアフリーなど様々な面から障害が生まれてしまいます。こうなってきますと、法規制などの抜本的な対策を講じないと、追いつかなくなりますね。

電柱地中化が普及しない原因

2015年2月23日に当社も参画しているNPO法人電線のない街づくり支援ネットワークが主催した電線のない美しく安全なまちづくりフォーラムは、電柱地中化を議論する場としてマスコミにも取り上げられた。約400名が参加し、電柱地中化に対する関心の高さを裏付けた。

この中で、自由民主党無電柱化小委員会の小池百合子委員長は、電柱の新設を原則禁止する電柱地中化推進法(案)のゴールデンウィーク前後の成立を言明した。この法案の成立により、これまで電柱地中化が進まない原因とされてきた、“技術”、“コスト”、“国民の意識”の3つについての克服が期待される。

1.技術について

1986年から国土交通省が電柱地中化(当時は電線類地中化)を進めてきたが、“技術”については、その当時と大きく変わっていないのが現状だ。地上設置トランスの小型化などの技術革新についてはどの電力会社も消極的なままである。そもそも、大型車両が通行する国道と、乗用車程度しか通らない民間の住宅開発地でも、電柱地中化についての技術的な仕様が同じ、ということが問題のひとつであり、そのことを、検討・改善する機関が存在しなかったことが、現状の日本の電柱大国化を招いているといえる。

2.コストについて

“コスト”については、1986年の新規住宅開発地で400~250万円/戸(『電柱のないまちづくり』学芸出版社)だったのが、150万円/戸程度(電力負担金を含む)に下がってきている。しかし、住宅の販売価格が150万円上がることは、不動産デベロッパーにとって、販売面で致命的との意見もあり、新規住宅開発地での電柱地中化が進まない主要因といえる。

しかし、多くのデベロッパーやハウスメーカーが二の足を踏む電柱地中化に果敢にチャレンジをして、成果をあげている企業もある。これらの企業については、こちらのページに詳しく掲載。電柱地中化を次世代まちづくりの戦略的商品として捉えれば、まだ主流になっていない今が好機といえる。

3.国民の意識について

もう一つが“意識”である。日本人は生まれた時から、身近に電柱があるため、違和感がないし、電柱があるのが当たり前だと思っている。このことが、電柱地中化の機運が高まらない原因であろう。同NPOでは、この状況に危機感を感じ、電柱地中化を子供たちに啓発する、小学生向けの電柱地中化授業を始めた。授業の最初に電柱が無くなるとTVやインターネットが使えなくなるので「電柱はあった方がいい」と答えていた子供たちが、授業の最後には「電柱は無い方がいい」と答えてくれるようになった。電柱地中化に対する正しい知識を敷衍させることは、電柱地中化の推進には有効であろう。

これらの課題は、無電柱化推進法が起爆剤となって、電柱地中化が広く認知されれば、近い将来、克服されると考える。

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