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無電柱化コラム

2017.09.11

区道の整備率はわずか3%強。東京都の無電柱化の実情とは?

笛吹けども踊らず東京都無電柱化の虚実 週刊東洋経済 2017.9.9

週刊東洋経済の9月号に、東京都の無電柱化についてが取り上げられました。
一部に当社代表のコメントも掲載されています。

 

7月中旬、東京都内で開催された「無電柱化推進展」。小池知事が行った基調講演は立ち見客が出るほどの盛況ぶりであった。

無電柱化政策の推移

 

都道は電柱の新設禁止

無電柱化は小池氏が衆議院議員時代から執念を燃やしていた政策だ。9月から「無電柱化推進条例」が施行される。都に無電柱化政策を推進する責務を課し、都道における電柱新設を原則禁止した。2017年度予算案で無電柱化に約250億円を配分。無電柱化は都心部で集中して推し進められる計画だが、防災・バリアフリー化が必要なのは都道だけでなく生活道路である区道もである。無電柱化の対象となる都道は23区内で1288km。他方で区道は1万0621kmもあり、現状の無電柱化率は僅か3%だ。
政策的な背景もあり都心区は90年代から専従職員を配置し、「つねに4~5路線で無電柱化計画が動いている」状況だ。再開発に伴い権利関係が清算されるため折衝が容易で工事費用や各方面との調整もデベロッパーが肩代わりするので、都内再開発区域のほとんど無電柱化がなされている。一方、住宅集中区域の状況は厳しい。文京区では、人手を割く余裕がなく、道路課職員が兼務。無電柱化完了区域は2.9km。このうち区の主導での施工部分は約750m程度である。


もう一つの問題が工期の長さだ。400mの道路を無電柱化するのには7年かかる。周辺住民との折衝に時間が費やされ、着工後も騒音・振動・通行規制に苦情が噴出することも珍しくない。
そのため、住民の反応も今一つだ。板橋区の商店街では検討されたが、営業中の店前で工事は困難、と断念。文京区は無電柱化を1路線で計画中だが、工事に時間がかかってしまう、という意見がでることを懸念。中央区ですら1年に無電柱化される道路は僅か数百m。肝心の都は住民折衝について、「あくまで区の事業であり、都が説明に出向くわけにはいかない」と距離を置く。

業者側も冷ややか?

国土交通省によれば、無電柱化費用は1km当たり5.3億円。仮に残りの全区道を無電柱化するなら、5.4兆円もの費用が必要となる。ただ、こうした潜在需要があるとの見方に工事業者は冷ややかだ。「周辺住民への対応が煩雑で、新規参入業者は多くない」(ジオリゾーム代表井上利一)。通信工事大手のミライトも「案件こそ多いが、工期が長く工事の粗利はよくない」と打ち明ける。都知事が進める無電柱化政策は、都道が主体になっている。防災やバリアフリーという本来の趣旨も照らせば、区道も議論の爼上に載せる必要があるのではないか。