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無電柱化コラム

2017.09.14

無電柱化の促進に向けた施策の提言(ジオリゾーム代表取締役:井上 利一)

無電柱化(電線地中化)に関しては、様々な障害が多く、ほとんどの企業や組織が諦めている現状がある。そうした現状を打破するために、無電柱化の促進に向けた施策を提言したいと思う。

無電柱化の促進に向けた施策の提言

民間デベロッパーへの無電柱化支援制度の創設

現在、電柱は毎年7万本のペースで増えている。この要因として、新規住宅開発地での電柱設置があげられる。これを抑制するには、無電柱化(電線地中化)に取り組むデベロッパーへの支援制度が不可欠だ。直接的な助成金なども有効だが、無電柱化された住宅を購入する消費者への補助金もあれば、太陽光発電のように、普及が一気に進むだろう。普及すれば、必然的に材料や工事費などのコストが下がる。そうすればさらに普及するという好循環が生まれる。現状では、無電柱化(電線地中化)コストは150万円/戸程度であるが、これが、50万円/戸になれば、無電柱化したいというデベロッパーは多い。

オーバースペックの改善

無電柱化(電線地中化)の根拠法は、「電線共同溝の整備等に関する特別措置法」(平成7年)だ。デベロッパーが無電柱化しようと思えば、この法律がベースになる。そのため、住宅地であるにもかかわらず、国道に敷設するような仕様が必要になる。これでは、コストばかりがかかって、無電柱化は進まない。もっと、実情に合った仕様への変更が必要だ。できるだけ浅く埋設し、材料は軽く・加工しやすいもので、しかも強いものが求められる。国土交通省は、こうした現状を改善するために、新たな整備手法の導入にあたっての技術的検証を目的として、総務省、経済産業省、電気・通信事業者、関係団体等からなる「無電柱化(電線地中化)低コスト手法技術検討委員会」を昨年9月に設置した。こうした動きに、民間の意見もぜひ取り入れてほしいと考える。

>>低コスト無電柱化提案ページはこちら

無電柱化推進法案の早期成立と確実な運用

2010年に発行した『電柱のないまちづくり』(学芸出版)に、無電柱化(電線地中化)の実現に向けたアクションプランとして、「電線類地中化基本法」の策定を提言した。それが今、現実になろうとしている。内容は違うが、基本的な考え方としての「新設電柱の原則禁止」は同じだ。その無電柱化推進法案の早期成立が期待される。また、この法案が、その機能を十分に発揮できるよう確実な運用を求める。法案が成立して新たな枠組みができれば、デベロッパーは独自に企業努力を行うはずだ。ただ、無電柱化に対する抵抗勢力からこの法案が骨抜きにされるのではないかと危惧する声も聞かれる。上記1、2とも連動して、確実な運用が必要だ。 「無電柱化は難しくない。」そして、無電柱化(電線地中化)は、法案が成立すれば、新たなステージに入る。それぞれのステークホルダーが自分の持ち場で、勇気と行動力を持って、無電柱化を前に進める努力をしてほしい。そうすれば、日本の空から電柱や電線がなくなることも夢ではない。未来の子供たちに、安全・安心で美しい社会インフラを残すことは、今に生きる者にとっての使命である。

株式会社ジオリゾーム 代表取締役
NPO法人電線のない街づくり支援ネットワーク 事務局長
井上 利一

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