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- 無電柱化ニュース
2025.05.14 | スタッフ
皆さん、こんにちは!今回は、国土交通省の資料から、現在の日本での無電柱化の構造とその課題についてお話します。 また、この資料では、架空線と地中線のメリット・デメリットを丁寧に解説しています。
全国 240 万 km の全道路両側延長のうち、平成 29(2017)年度末時点で無電柱化されているのは、トンネル・橋梁等の整備不要区間にける約 2 万 3,000km と、無電柱化事業整備区間(着手含む)における約 9,900km を含めた、約 3 万 2,000km であり、無電柱化率は約 1%となっています(上下線別延長ベース)。
道路管理者別にみると、全国約 4 万 km の直轄国道のうち、約 1 万 km において無電柱化が実施され、無電柱化率は約 22%に達しており、都道府県管理や市区町村管理の道路より無電柱化が進んでいる。市区町村道の電線類地中化等延長は合計で約 4,300km と、延長でみると一番規模が大きいが、分母となる道路延長が長いため、無電柱化率は 0.5%と低い。
道路の無電柱化率 道路延長は約 120 万 km。電線共同溝は道路の上下線両方で設置されるため、道路延長の 2 倍を分母としている。
無電柱化の事業手法としては、道路管理者が行う電線共同溝方式、電線管理者が行う単独地中化方式、自治体(道路管理者以外)が行う自治体管路方式、開発業者等が行う要請者負担方式がある。
各方式の費用負担は以下のとおりである。
電線共同溝の整備等に関する特別措置法に基づき、電線共同溝本体を道路管理者、トランス・電線等を電線管理者が負担する。
全額電線管理者が負担する。
管路設備の材料費及び敷設費を地方公共団体が負担し、残りを電線管理者が負担する。
原則として全額を要請者である開発事業者等が負担する。
これまでの事業手法別の無電柱化延長の割合は、電線共同溝方式が約 7 割、ついで単独地中化方式が約 1 割となっている。なお、電線共同溝法が制定されて以降は、単独地中化はほとんど行われていない。
平時においては、架空線の方が施工性や費用面でのメリットが高いものの、支障移転が多いことや気象条件、樹木の影響により供給障害が生じやすい課題がある。それに対して地中線は、外的条件による損傷リスクが低く、安定的なサービス供給が行えるほか、支障移転が少なく、景観向上や安全性に資するメリットがある一方、施工や維持管理のコストが高い等のデメリットを有する。
災害時には、架空線の方が被災リスクが高い反面、目視が容易であることなどから速やかな復旧が可能である。地中線の場合は飛来物等による被災リスクは低いものの、被災状況の把握が困難であり、復旧に時間を要する点が課題である。
こうした地中線の整備におけるデメリットを克服するための要件について最も多かった回答は、「費用負担の軽減」で、建設・維持管理コストの低減とともに、新たな補助制度の創設や占用料の減免等についての意見が見られた。また、他の電線管理者・地元との調整や、地上機器の設置スペース及び地下の占用空間の確保、新技術としての低コスト手法の確立の必要性に関する指摘があった。
架空線と地中化の整備に対する評価(電線管理者への意見聞き取りより)
・費用負担の軽減(建設・維持管理コスト)、新たな補助制度、占用料の減免 ・他の電線管理者や地元との協議・調整 ・地上機器の設置スペースの確保、地下空間の占用位置の確保 ・新技術・新工法、低コスト手法の確立 等
電線管理者の立場で、架空線と地中線について、整備及びライフサイクルコストの観点での評価をみれば、それぞれに一長一短があるととらえていることが分かる。しかし、特にイニシャルコストの面からみると、架空線での整備は地中線での整備に比べ、約 1/10 と圧倒的に低廉である。このため、電線管理者にとっては地中線に取り組むメリットが小さくなるものと考えられる。
電気事業を例に取ると、無電柱化事業を取り巻く事業費調達の流れは、大きく分けて、「利用者から『託送料金』を通じて電線管理者(電気事業者)に向かう流れ」と「国・自治体から『道路予算』を通じて道路管理者に向かう流れ」の 2 つがある。
「託送料金」を基に電線管理者(電気事業者)が 10/10 の費用負担を行う架空線整備と地中線整備(単独地中化)を比較すると、電力事業に関しては、前者の費用が約 0.2 億円/km であるのに対し、後者の費用は約 2.3 億円/km となる。
一方、電線共同溝事業の場合は、「託送料金」を基に電線管理者が約 1.8 億円/km(事業費の約 1/3)負担するのに対して、「道路予算」を基に道路管理者が約 3.5 億円/km(事業費の約 2/3)を負担することとなっている。
断片的な資料のみで判断することは無理がありますが、作者の私見であと少しお付き合いください。
無電柱化がなかなか進まないのは、
1. 電線管理者にとって、イニシャルコストの面からみると、架空線での整備は地中線での整備に比べ、約 1/10 と圧倒的に低廉である。このため、電線管理者にとっては地中線に取り組むメリットが小さくならざるを得ない。
➾現状での無電柱化には、多大な初期投資が必要であり、電力事業者や通信事業者が負担を嫌がるため、進行が遅れている。これには設計、施工、既存インフラの撤去費用が含まれ、予算の確保が困難となっている。 ➾また電柱の管理や設置を担当する事業者(電力・通信会社)が、既存の利益構造を維持したいため、無電柱化の推進に消極的になることが多い。これにより、変革に対する抵抗が生じる。
2.「無電柱化は、国策です」と言ってもなかなか進まない。
➾国策と言っても、無電柱化を推進しているのは国土交通省の道路局で、その対応として、自治体主導の電線共同溝方式を進めているが、予算確保や人員の不足、施工面で電線管理者に頼らざるを得ず、強制力が働かない。 ➾無電柱化の目的で現状進められる大儀名分や予算確保が得られるのは、緊急輸送道路を中心とした防災面での無電柱化に限定されてしまう。 ➾電力事業者、通信事業者、自治体など、多くの利害関係者が関わるため、調整が難航する。特に省庁(国交省・経産省・総務省など)間や企業間での協力体制が不十分なことも要因となっている。これらの関係者をまとめる新たな諮問機関・リーダーシップが必要。
3.日本も諸外国にならって安価で簡易な無電柱化を進めたらいいのではと考えたが。
➾災害が多かったり、狭隘な道路が多かったりと、安価な構造での無電柱化が難しい。そのため、国の規制も厳しく設定されている。現状では、規制に見合ったしっかりした構造での無電柱化が進められ、高スペックな無電柱化になっている。 ➾無電柱化を進めるには、我が国に合った新たな技術や工法が必要であり、これに関する研究開発が必要であるが、民間会社や電線管理者では研究開発コストへの見返りがないと進めることができず、不十分な状況である。 ➾そのため、競争原理が働かない状態が生じている。 ➾現行の法制度(電気事業法や通信事業法、道路法など)が、無電柱化を進める上での障害となっている。これらの法改正には時間がかかり、調整が必要となる。無電柱化が進められている海外の製品・工法の技術や導入も検討すべきだが、法規制が障壁となっている。
4.「無電柱化」の理解が不十分
➾無電柱化の現状で苦慮しているのは、道路管理者、電線管理者、民間の関連業者・地域住民などの当事者である。関係省庁は、現場の声を吸い上げ、それぞれの立場に立った課題解決に努めなければならない。
5.「無電柱化」の進むべき道は(あくまでも私見です)
➾ヨーロッパの諸都市や、アジアの先進都市、その他のアジアの諸都市が無電柱化を進めている事実を検証し、日本の配電・通信設備はどうするのがいいのかを、国の政策として明確にすべき。 ➾国土交通省の今回の資料より、現状では、地中線と架空線のどちらがよいのか明確な答えが出ない。従って、それぞれの長所が活かされるところや地域住民の利益・需要につながるところでの無電柱化から優先して進めていく。 ➾無電柱化の成功事例を増やし、それを広め、無電柱化が社会課題の解決につながることを国民に理解してもらう。
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