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無電柱化コラム

国内外のまちづくり ,海外の事例 ,

2017.09.29

韓国、ソウルでも無電柱化が進んでいます

【韓国の無電柱化の報告】電力・通信設備について

韓国、明洞

韓国ソウルの無電柱化(電線地中化)の進展

韓国ソウルの無電柱化(電線地中化)の進展は、主要道路と再開発地域、および観光地を中心に行われています。特に明洞を始めとする繁華街でも地中化による無電柱化が面的に実施されており、無電柱化割合としては日本に都市部よりはるか高く、東京の都心部をしのいでいると思われます。
伝統建築物を残している「北村」周辺でも、観光資源となる箇所については無電柱化完了。ただし少しはずれると電柱は残っています。

 

北村から見える風景

一方で、日本より大型のスイッチ、トランス類を収めるボックス類が、「無秩序」とはいかないまでも「乱雑」に配置されており、再開発が完了していない古い市街地では、架空線による電力供給、通信がおこなわれ、引き込み線が蜘蛛の巣状に配置されているなど、細かい部分に日本の感覚と違うもの(荒さ)を感じました。
また、高級住宅街を考えられる地域でも電柱があるなど、無電柱化(電線地中化)をおこなうべき場所は十分残されていると考えられます。

韓国では通信網が非常に発達していることは有名で、通信会社が乱立しています。電力の供給形態は発送電分離型で、複数の発電会社と、ひとつの送配電会社「韓国電力」により成り立っています。

まだ電柱が残っている通りも

尚、一般的な日本の配電線は、高圧6,600V-低圧100Vですが、韓国では、高圧22,900V-低圧220Vです。これは約20 年前に低圧100 Vから引き上げられたものです。効率を重視する合理性を感じるとともに、政治権力の大きさは相当なものであると感じました。
韓国の電柱には、22,900Vの高圧架線があるためか、建物との離隔を大きくとっているものと思われます。そのためか、S字形に曲がった電柱なども散見されました。

 

韓国・瑞山市の無電柱化計画

ソウル以外にも無電柱化に力を入れている地域は他にもあります。ソウルから南へ100kmほどに位置する 瑞山(ソサン)。市役所前の大通りの電線類を全て地中化する計画が2012年から進められており、2013年に地中化工事が終了、整備工事も2016年内に全て完了ということです。

大通り(約1.7km)は「歩きたい都市の街」として計画され、防災・安全の確保と都市景観が向上、市場に連携した商店街の活性化も期待されます。そして、電柱を除いた場所には花や椅子が設置され、歩行者が快適に歩ける街となっています。商店街を訪ねる人も増えて、経済的な効果も得られる。商店街に訪れる人の声を聞くと、「歩道にあった電柱が撤去されて快適な都市を満喫できるので散歩が楽しくなった。」等の意見が聞くことができました。
ソサン市無電柱化計画担当者の都市計画部道路交通課課長のキムヨンギュン様にメールでのインタビューを行いました。

Q1.無電柱化計画の開始から工事が終わるまでの期間は?
A.2012年2月から計画して2013年12月に終わりました。

Q2.ソサン市中央路の電柱を無くすための費用はどれくらいですか?
A.総合的な作業費用に 121億ウォン(約12.1億円)費やしました。

Q3.ソサン市役所前の通りの電柱を撤去する事業を行おうとした理由は何ですか?
A.ソサン市を代表する通りとして7つの道が一つに集まる市役所前の大通りは、物資運搬や商店街の存続にあたって重要な通りであったが、当時は老朽化した施設が集まる整備の行き届いていない街でした。それゆえ、ソサン市の中心に位置する繁華街のイメージを変える必要性を感じ、事業を進めました。

Q4.地中化作業を進めるにあたって、難しかった点は何ですか?
A.初めは、無電柱化を進めるにあたって、歩道に地上式変圧器を設置し変圧器を遮蔽するために緑地を作る計画でしたが、商店主の反対でソサン市所有の土地(駐車場)に地上式変圧器を設置しました。そして、地中化(電気、通信、ガス)工事と土木工事等による交通不便と営業支障による市民の反発によって工事を進めることが難しかったです。

Q5. 電柱のない街によって、ソサン市にどのような効果があると期待できますか?
A.電気、通信の地中化によって、都市美観の向上と歩行者の安全な通行確保による交通事故削減効果を望みます。

日本は韓国より10年早く地中化が進められました。(韓国:1996、日本:1986)しかし、日本の地中化率が約1%と、韓国の21%より低い主な理由は、無電柱化に関する法律整備の度合いが韓国よりまだ不十分だからでしょう。また、商店や企業が目の前の利益に追われ、地中化工事を反対することや、地方自治体・市民・企業の間で様々な利害関係が存在することも無電柱化を妨げる一因としてあげられると思われます。
韓国における無電柱化整備の特徴は、地中化の工事にかかる費用を地方自治体と韓国電力が半分ずつ支払うことで、自治体の負担を減らす仕組みを取り入れています。他にも法的(電気施設地中化促進法)・経済的(電気施設など地下通合網の設置費用補助)な援助を国が行っているのです。

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