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2018.06.07 | テスト

タイの首都バンコク:無電柱化の街並みと施工方法をお伝えします

タイのバンコクに視察に訪れました。タイには約30年前、大学在学中の2度目の卒業旅行で来たことがありました。宿はバックパッカーの聖地であるカオサン通りの数百円でベッド(ベニヤ板に布を敷いただけ…)しかない部屋に陣取り、10日程度旅したのを覚えています。そのカオサン通りですが、今では無電柱化されていて、当時の電線びっしりで猥雑な雰囲氣が一掃、観光地化されています。市内はBTSやMRTといった鉄道網も整備されて、見違えるようでした。30年という月日の中で国は大きく様変わりしたようです。

今回、NPO法人会員企業のご支援で、タイの電力公社に訪問させていただくことができました。

タイの無電柱化事情

無電柱化に関してですが、当初の前評判に反して、それほどは進んでいないみたいです。当然、大きな幹線道路は無電柱化されていますが、それ以上に、残っている電柱・電線のインパクトが強く、そちらにばかり目を奪われてしまいます。大通りから1本はいると「五輪マーク」のようにまとめられているところが多い、という印象です。日本も同様ですが、特に通信線が多くてかなり密集しています。ネット利用が発達しているようで、その影響だと思いわれます。
バンコクは完全な車ファースト社会で、歩行者は二の次となっており、歩道の真ん中に電柱が鎮座しているのが現状です。その上、車が非常に多くて市内は常に渋滞です。

タイでは、EGAT(Electricity Generating Authority of Thailand)が発電会社で、その傘下にバンコク市内などの都市部を担当するMEA(Metropolitan Electricity Authority)と地方部を担当するPEA(Provincial Electricity Authority)があります。

それぞれが、配電を管理していますが、無電柱化に関しては、まだ積極的に取り組んでいないようです。MEA、PEAともに、現状では、電力の安定供給のために、まずは特別高圧線の地中埋設工事をかなり大掛かりなもので行っています。一部、配電線を地中化したところを見ることができましたが、日本では信じられないくらいの浅埋でした。

管路が表層の上に背中を出している状態です。高圧線の工事も夜間工事で、こちらはかなりの巨大工事でした。人が住めるくらいの巨大マンホールを入れるための掘削工事の最中で、大型のクレーンを使い、クラムシェルで掘り進んでいました。だいぶ近くまで行って、写真を撮ったのですが、怒られませんでした。もし、誤って落ちても落ちる者が悪い、という自己責任制であると思われます。

無電柱化の目的としては、今以上に電線増設が困難、停電や漏電の低減、交通安全などがあげられます。現在、特別高圧の地中化を進めており、40年で127㎞を計画。タイに地震や台風が起こることは多くないようですが、雨による浸水被害があり、2011年の大洪水の時には地中化をしていなかったために被害がでました。もともとスコール後に水があふれることがあるのでトランスは60㎝底を上げて配置しています。

1km当たりの特別高圧の無電柱化コストは3億バーツ/㎞(1バーツ=3.4円。約10.2憶円)です。高圧線(24KV)の地中化は車道の下に幅3m×長さ7m×深さ4mのコンクリートの桝の設置工事は夜間22:00~翌5:00まで行われ、覆工板を設置、朝までに交通規制を解除します。
タイでの無電柱化は、現在は高圧線中心に地中化が進んでおり、低圧線については今後、という感じでした。タイの配電会社の方に「日本では、国が今年から3年間で1400kmの無電柱化を進めるという計画を出した」という話をすると、「信じられない」「どういう方法でやるのか」と逆に質問されました。バンコクの無電柱化は日本と同じように高コストのようです。

 

無電柱化エリアを見学

バンコクの観光名所、王宮のあるエリアは古い町並みを生かした再開発が行われているようです。観光が一大産業になっている様子がよくわかります。

古い建物をそのまま活用し、よく見ると軒下配線されています。このような簡単な軒下配線だと、
「日本は建物の建て替わりがあるから無電柱化できない」という「できない理由」は言えなくなりそうです。

競馬場近くの無電柱化エリアにて。地中線ピットを見せてもらうと、中には昨年オーストラリアでも見かけたシカム社のコネクタでキレイに施工されたケーブルが入っていました。ビル建設現場では、掲示物の表示を見てみると服装や要注意事項が細かく示されていました(写真の建設企業は「THAI OBAYASHI」)。海外の工事を見ると、日本の施工や安全管理の品質の高さがよくわかります。

 

 

地中化施工の様子

日本の場合、基本的には地中化工事は道路を開削して配管するのが主流です。開削後に矢板を建てて土留めをしたあと、特殊部を設置します。また、開削して管を敷設していくというやり方です。(写真は大阪府内の都心部ではない場所での電線共同溝工事)

では、バンコクではどのようになっているのでしょうか。特別高圧電力線の地中化工事で水平ボーリングによる配管の現場を見せていただきました。そこでは、今回の視察にも協力してもらったバーミヤ社の機械が使用されていました。海外(特にアジア)では水平ボーリングが主流のようです。180㎜の電気(高圧)の管を30本一度に通すことができるのと、開削が不要で川の下越しができるということで、深度22mに配管するという現場です。タイでは、こうしたボーリングマシンを多用して、非開削での地中化を進めているようです。


工事の概要
・距離300m~400m
・180㎜の管路30本埋設
・工期 2016.3~2019.3(1,080日間)
・工事額 5億7,460万THB(約19億5千万円)

写真の奥にみえる黄色い機器が水平ボーリング機械で、地中にねじ込んで掘削します。オペレーターは地中がどういう状況か、障害物の有無などを把握しながら機械を操作していきます。泥水のように見える部分には薬品が入っており、滑りやすくしておいてボーリングした箇所に管をいれ、引っ張るとのことです。使用後は泥と薬品に分けられリサイクルされるようです。大規模工事で工期に間に合わせるため、週7日、2交代で施工中とのことでした。
次に見せていただいた現場はバンコクから約50㎞離れた工業団地内 の通信線の埋設工事現場です。通信線を深さ3mに埋設するという工事で、ここでも水平ボーリングで工事が行われており、さらに小型の水平ボーリングの機械が使われていました。

 

タイの通信会社はたくさんありますがすべての通信会社の通信線が入れられるとのことです。100m~150m毎に桝がありました。車道の対角線が30~40mなら1日3本はボーリングできるとのことでスピードも速いです。ちなみに電気の管は一緒には埋めないそうです。
タイでは、現場の近くで写真を撮っても注意されることもなく、興味深く見ることができました。安全対策は日本よりは緩く、ベトナム、インドネシアよりきっちりしている感じでした。ご協力いただいた皆様、ขอบคุณ ค่ะコップンカー!(ありがとうございます!)

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