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無電柱化コラム

2017.11.13

無電柱化の低コスト化を実現するための新手法提案

無電柱化の低コスト化を実現するための新手法を提案します。

公共工事として自治体発注の整備事業の場合、設備の管理区分の設定、工事負担費用の割合など、関連する各機関および地域住民との協議内容が複雑化し、調整も難しいと考えられます。事前の整備計画にも相当な時間と費用を要する可能性があり、実際に導入されるまでには、長期に渡り事前調査をする必要があります。今までの当社の取り組みや新提案、国の取り組み、実際に取り入れられた低コスト手法についてもご紹介します。

国の無電柱化低コスト手法の取り組み状況

出典:国土交通省資料

無電柱化技術開発の変遷

無電柱化は技術開発により、CAB 方式 ⇒ 電線共同溝方式 ⇒ 新構造電線共同溝方式 ⇒ 舗道一体型電線共同溝方式(次世代新) と変遷しており、
浅層化とコンパクト化によりコストも下がってきています。
しかし、それでも次世代新方式のコストは5.6億円/km (従来方式は6.8億円/km)で、無電柱化の促進のためには更なる低コスト化が必要です。

無電柱化低コスト手法の提案1 : 柱状トランス方式

トランスボックス【地上機器】は柱上変圧器と同じように、配電用変電所から送られてくる6,600 ボルトの電気を100 ボルト・200 ボルトに変換する装置です。

電柱の上に取り付けられている柱上変圧器やヒューズなどのさまざまな装置を一体化してコンパクトに1 つの箱にまとめ、地上に設置しています。地中配電にはこの他に、高圧の引込開閉器や配電線の区分開閉器、連絡開閉器を1 つの箱にまとめた「引込用開閉器」や「多回路開閉器」が設置されています。
トランスボックスが地上にある場合、水没の危険があります。2005年の台風14 号の局地的な大雨が首都圏を直撃。河川が氾濫した杉並区、中野区では1500戸以上が床下・床上浸水しました。この時、杉並区内で5件のトランスボックスの水没被害が発生しました。その結果、周辺が停電し排水ポンプも止まってしまい、さらに浸水が増すという2次災害も引き起こしてしまいました。
こういった被害をなくすために、現在さまざまな技術開発が行われています。
その1つがトランスボックスも電線と同様に地中化することです。防水構造とし、従来のトランスボックスより小型化したものが、実際に東京・渋谷センター街などに設置されています。しかし、まだまだ費用が高く、技術も発展途上です。

そして、もう1つが「柱状トランス方式」です。道路幅員が狭く、地上機器の設置が困難な場所で採用された“ソフト地中化”といわれる方式です。設置場所に苦慮する地上機器を柱状にすることで、柱は残るが、見苦しい電線がなくなり、景観もすっきりする。また、近接する高校内等に地上機器を設置することによっても、少し離れた道路の地中化が可能になる。 概算費用は、2.3億円/㎞です。

無電柱化低コスト手法の提案2 :浅層埋設型配管方式

「浅層埋設型配管方式」は、道路幅員が狭く、かつ、その中に下水道等の既設配管や人孔が埋設されており、通常の電線共同溝管路の敷設が困難場所で採用された方式です。 狭小道路での施工が可能で、かつ、浅層埋設なので低コスト。リサイクルプラスチックを用いた合成樹脂多孔管を開発し、工事の省力化、工期の短縮、コストダウンを追求した新しい地中化方式です。 概算費用は、1.9億円/㎞です。

無電柱化低コスト手法の提案3 : 特別浅埋配管方式

電線管理者がケーブル保護の観点から提案2の管材(孔多くん)を敬遠することが予想される場合の方法です。
電線管理者の協力と、電線類地中化という両方の要求事項を一度に解決する、これまでにない無電柱化方法です。従来管を使用することで、電線管理者への理解を得やすくなる。
概算費用は、1.7億円/㎞です。

無電柱化低コスト手法の提案4 :二層側溝型配管方式

コンクリート製品メーカーとNPO法人電線のない街づくり支援ネットワークが共同で開発した方式で、懸案の側溝の整備と、無電柱化という両方の要求事項を、一挙に解決する、まったく新しい無電柱化システムです。

現在のスペースを有効に活用し、なおかつ、将来的なメンテナンスにも対応。

[特徴]
・ 下層にケーブルを配置し、上層に排水路を設ける。
・桝部では、上層の排水路を道路側にオフセットする。
・幅員の狭い道路での電線地中化をコンパクトにできる。
・官民境界に設けるため、民地へのケーブル引き込みが容易。
・通常の点検やケーブル敷設は桝部から行うが、大規模配管 修理時は、上部ブロックの取り外しが可能。
・上部ブロックの断面形状は自由に選べる。

概算費用は、2.8億円/㎞です。

無電柱化低コスト手法の提案5 :共用桝(特殊部)と管材料の長さ

管路工の問題点として、電力と通信の桝(特殊部)が別々なので1日の作業終了時に管の先が不揃いになることがあります。 あまりにも長さが違うと、次の日の掘削時に前日の仮復旧を撤去する部分が大きくなり時間や材料などのロスが発生します。ロスを防ぐために管を切断して管の先を揃えることもあります。結局どちらかにロスが出ることになります。 考えられる対策は、電力と通信の特殊部を共用にする。 管の長さを統一することがあります。

無電柱化の低コスト化のポイント
①桝接合部の固定を片側で出来るようにする!(施工の簡素化)
②ハンドホール、マンホールの小型 化・軽量化をする!
③共用桝での整備を標準化する!
④管材料の長さを統一する!(施工の効率化)
この四つの項目だけ実現した場合でもトータルコストが5%程度の削減可能です!
管材料の材質、管路の埋設深度などその他の方法が実現すればさらにコスト削減につながると思います。
※当社の実績:主に関東地方、中部地方(愛知県、岐阜県)

無電柱化低コスト手法:国も本気です!①

国も無電柱化を推進するための低コスト手法の確立に向けて取り組んでいます。国土交通省は2015年2月18日に開かれた『無電柱化低コスト手法技術検討委員会』で土木研究所などが実施してきた試験施工による中間報告をまとめ、公表しました。実験では
① φ150mm未満のケーブル・小型管
② φ150mm以上の大型管
③ 小型ボックス をそれぞれ国の基準以下で浅埋設した時の舗装・ケーブル・小型ボックスに与える影響
を 調査した他、直接埋設における電力・通信ケーブルの離隔距離の確認も行われました。

※実験した埋設深度(第2回低コスト委資料)

以上のような実験を通じて、埋設手法や離隔距離の基準緩和が認められれば低コスト工法の普及も進み、無電柱化に対する風向きもますます追い風になると当社も期待しています!

無電柱化低コスト手法:国も本気です!②

第5回無電柱化低コスト手法技術検討委員会では、
1.「電力線と通信線の離隔距離確認試験結果について」
2.「直接埋設、小型ボックス活用埋設の施工性確認試験結果について」
3.「浅層埋設にあたっての安全対策について」
の3つの議題について討論されました。

1、については電力線と通信線の離隔基準の緩和についてです。電力線では、アーク放電という現象がおこり、普段では在り得ない高温と閃光を伴うことがあります。これにより通信線に影響がある可能性が危惧されます。この2線をどれくらいの距離を離すことができるのかを今回実験で検証しました。検証の結果、既存ケーブルで離隔0cmとする場合のリスクを回避するため難燃性の防護管などの保護対策が必要。防護管の保護対策の条件の下では、電力線・通信線の離隔距離が0cmでも敷設が可能ということが分かりました!これにより新たな手法が可能となるかもしれません!
2、は離隔が0cmで可能と仮定し、直接埋設・小型ボックス活用での埋設施工性を確認した結果報告でした。0cmで並べてきれいに収まるか、ということですね。検証結果は細かくなりますのでサイトに掲載されている報告書を参考にして下さい。
3、は最近注目を浴びている浅層埋設に関して。埋設物の安全対策の現況を確認し、今後の在り方を討論されたようです。

↑アーク放電時の閃光例

 

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